錆色のねずみ

「錆色のねずみ」(「Recollection」寄稿作品・2021年)

 わたし、きっと、どこかの浅い川底の人魚です。
 川底に沈んだまま、わたしは空を見ている。涼やかな流れはわたしの脱力した手足に触れて、それから楽しげに離れていき、生ぬるい体温をひとつひとつ奪っていく。口も鼻も水の中にあるというのに息苦しくはなくて、背中にごつごつ当たる地面の感触もない、水面にはきらきら変わる空だけがあって、その青さがとても綺麗なものだとすっと気持ちに入ってくる。本当に綺麗なものっていうのは、こんなふうに疑いもなく受け入れられるものなんだなって思う。

 朝、気づけばベッドから起きあがっていた。癖のついた髪の毛が頭をあちらこちらに引っ張っていて、こうなるとどちらを向いていいのかわからなくなってしまう。これまで寝返りを打って、目覚まし時計を止めて、散々したのだろうけれど、わたしはそのことをさっぱり憶えていない。こんな日は平衡感覚がしばらく戻ってこなくて、上体を起こしたままぐわんぐわんと揺れ、しまいにはまた枕に倒れこんでしまいそうになる。でもその前に時計の針を見てしまうと、ああ寝坊しそうだって慌ててしまう。すると血の気はさあっと引いて、それまでどんなに夢見心地でいたとしても、余韻も全部零れ落ちていく。それから冷静になってみると、遅れているというのも勘違いなのだけれど。
 のそのそと動物みたいに起きだすと、ちょうど良いくらいの時間になっていて、どうやら慌てるほどのことはなさそうだった。部屋のカーテンを半分だけ開けると、外はもうすっかり明るい。それから食卓を覗き見れば、お母さんはもう朝ご飯を用意してくれていた。お母さんはわたしを気にしている様子もなく、今はゴミ袋の容積を減らすことに挑んでいる。お父さんはもう家を出たみたいで、どこにも気配がない。
 洗面所の鏡の前に立つと不機嫌なわたしの顔が映る。ごしごし顔を洗って、垂れる水道水を拭って、もう一度ひっぱるように顔つきを整えて鏡に寄せる。目頭から目尻まで、二重まぶたを人差し指でなぞってみて確かめる。今日も大丈夫、見栄えが悪いってことはないと思う。腫れてるような感じもするけれど、じきに落ち着くだろう。
 小さく鳴き声が聞こえたのでなんともなしに視線をやると、錆色のねずみが鏡の縁から顔を出していた。どういうところに暮らせばそうなってしまうのか、顔形から毛並みにまでべっとり錆を塗りつけていて、判然としない表情でわたしを見ている。ねずみはこそこそと警戒するような素振りを見せてから、何かを判断して鏡をかじり始める。そんな振る舞いは見慣れたもので、こいつは毎日だいたいこのくらいの時間になると鏡をかじっている。果たして鏡が美味しいのかどうか知らないけれど、こいつがどれだけかじり進めたとしても、本当に鏡が減っていってしまうことはないらしい。こいつはわたしだけが見ている幻覚だから、わたしが一瞬でも目を離してしまえば、削れていたはずの部分は元に戻って、何事もなくなる。それを疑問に思うこともあったけれど、朝の支度のたびに見続けていれば慣れてしまった。
 それから制服に袖を通して、姿見でちゃんとしているか確かめておく。制服は楽でいい。裾回りが酷いことになってないかの確認くらいはするけれど、姿見の前で何度も回るようなことはしなくていい。差し色がどうの、肌の色がどうの、流行りがどうの、そんなことは考える必要もない。大人しく着こなしてさえいればだいたいそれでいい。わたしがリボンを整えていると、洗面所のねずみはこちらの部屋までやってきて、次はわたしの姿見をかじり始める。どうやらこいつは鏡が好みらしい。今度試しに家じゅうの鏡を隠してみようかなんて思ったりもする、そうしたらこいつはどんな反応を示すだろうか。けれど実際にそうすることはないだろう。鏡のない朝は御免だ。
 食卓に出ると、お父さんがトーストを焦がした匂いが残っていた。これはいつものこと。わたしも八枚切りをトースターに放り込んで、誰かが付けっぱなしにしたテレビを眺める。外れるばかりの天気予報、声を荒げる政治家のインタビュー、それと誰かが結婚するだのしないだの。わたしの頭の中でスイッチが切れているみたいで、言ってることは理解できるけれど、心はちっとも付いてこない。ただ雑音をうざったく思うこともないし、静かに朝ご飯を食べるのも侘しい感じがして、テレビを消すまではしない。そうこうしているとゴミを出してきたお母さんが玄関の鉄扉を勢いよく閉めて、家じゅうに威勢よく音が響いた。お母さんは働き者だ。もう洗濯物に取り掛かっていて、わたしが朝ご飯を食べて飛び出してしまえば、食器のことももう考えているはずなのだ。その邪魔をするつもりもないから、わたしは冷めた目玉焼きを大口で食べてしまってから、トーストにたっぷりイチゴジャムを付けて噛りついた。

 イナちゃんが待つ時間になってしまってから、わたしは慌てて玄関を飛び出す。ローファーを突っかけながらでもわたしは「いってきます」をちゃんと言うことにしている。団地の階段を駆け下りて、急にターンさせた足首にちりりと痺れが走って、それから日差しがちょうど差し込んで眩しく目を伏せる。イナちゃんはいつも自転車置き場のところにいる。いるはずなのだけれど、わたしにはそれがよく見えていない。というのも、イナちゃんが日除けに使うトタン屋根には、収まりきらない巨大な錆色の犬が寝ているからだ。これもわたしにしか見えていないから、イナちゃんは躊躇なく錆色の毛皮に埋まってわたしを待つ。こうしてわたしが慌てて出てくるのは珍しいことでないから、イナちゃんは慣れっこの調子でおはようを言った。
 通学路には川べりの道をよく使う。単純に近道だからというのもあるのだけれど、この時間に通ると日の光の角度で川面がきらきらと光って爽やかな気分になる。イナちゃんはこの道を通るたび、昨夜の番組のことを話し始める。わたしも同じ番組を観ていたはずなのに、彼女がこうやって説明してくれると違うものを観ていたように思えるから不思議だ。高校生同士の友情とか、両親を大事にしてるとか、好きな人との遠距離恋愛だとか、わたしだって気持ちがわからないわけじゃない。だけれどイナちゃんがそれを熱っぽく語ったとき、なんだか無性に涙が出てくるみたいになって、そうそう、そんな風に感じたんだよ、なんて勝手に思い直す。もしかするとわたしはわたしに嘘をついてるだけなのかもしれない。イナちゃんは難しく考えないでいいよなんて言ってくれるけれど。
 学校は半日授業。朝礼のときからもうみんなそわそわしていて、先生だって今日はちゃんと授業を進める気がなかったりする。わたしももちろん例外ではなくて、教室にいる錆色の蜘蛛を見てぼんやりしてしまっている。昨日はスズちゃんの席にくっついていて、今日はその後ろのカネコ君の席にいる。こうして毎日ひっつく席を変えながら、授業の間は背もたれにじっと張り付いて、時々思い出したように足の向きを変えるだけだ。とはいえ、あの大きさの蜘蛛が近くの席にいるとちょっと怖くもある。
 わたしがそんなことを考えていたら、どうやらイナちゃんは数学の問題を答えられなかったらしく、クラスメイトの笑い声が意識を引き戻した。続いてわたしが当てられたので、教科書をぱらぱらとめくって時間稼ぎをしてから、なんとなく当てずっぽうで答えを返す。先生は困ったように正解だと頷き、わたしの予習具合を褒めてくれた。どこか棘を感じる言い方だったようだけれど、わたしはそうとは気づかないふりをする。静かにしてるし、あってるならいいでしょ、わたしは思うけどな。
 お昼になると、イナちゃんとわたしは学食に向かう。多くの生徒はそのまま下校してしまうし、残っていても部室に行ってしまう人もいるから、学食はいつもよりまばらな感じになる。わたしはA定食を頼んで、イナちゃんは席を確保しに行く。列に並びながら黒板を読むのだけれど、今日のA定食も、豚肉の炒め物と春雨の和え物と合わせの薄いお味噌汁、それに硬めに炊いたご飯。いつも代わり映えしないのだけれど、そのぶん少し安い。たまにはB定食にしようかなんて考えることもあるのだけれど、そういう日に限って気分が乗らなかったり、お財布の中身が寂しかったり、お夕飯のメニューとかぶっていたり、どうにも巡り合わせが悪い。
 イナちゃんは窓際のちょうどいい席を取っていてくれていて、行きがけに買ったらしいお昼ご飯を広げていた。クリームパン、ツナマヨおにぎり、スポドリ。その組み合わせはどうなのなんてわたしは思いながら、A定食のお盆を向かいに置く。クリームパンなら牛乳とかコーヒーとか、ツナマヨおにぎりなら緑茶とかほうじ茶とか、そういうのがあると思うのだけれど、イナちゃんはそういうことは気にしない。気にしないままとても美味しそうに頬張る。もしわたしがしつこく言ったところで、美味しければいいじゃないなんてイナちゃんは言うと思う。
 午後、放課後は部活の時間。吹奏楽部のミーティングを済ませて、今日は教室を借りて自主練。イナちゃんとわたしはトロンボーンを吹く。マウスピースをぴーぴー鳴らしながら、イナちゃんの練習開始を眺めていたのだけれど、なかなか始めようとしなくて、やきもきしてしまう。けれどあまり厳しく言うのも良くないかなと思って、音程を上や下や合わせてぴーぴー鳴らし続けていると、さすがのイナちゃんも気づいたみたいで誤魔化し笑いが返ってきた。むしろ悪いことをしたかもしれないなんて思いながらチューニングをして、ロングトーンをして、教本の楽譜をさらって、していく。窓の外では陸上部だかサッカー部だかが駆け回っていて、わたしが吹くのを止めると、イナちゃんのリズム練習の隙間、ずっと遠くからホルンの音、そして校庭の砂を蹴る靴音が聞こえてくる。音は満ち満ちているのに、なんでこんなに静かに感じるんだろう。しばらくしてイナちゃんと合わせの練習もしたけれど、とても寂しい気持ちが拭えないでいた。

 この季節の部活終わりは青黒い空がまだぼんやりしていて、月があれば半透明で、まだ夜まで猶予があるような感じがする。だからわたしとイナちゃんはよく寄り道をする。まっすぐの帰り道から少し行った国道沿いにはコンビニがあって、そこで怒られないくらいに時間を潰す。やたら広い駐車場があって、たいてい閑散としているところに、たまに車が入ってきてじゃりじゃりタイヤを傷つけながら、適当に停めては適当に出ていく。それを見るでも見ないでもないくらいの感じで、わたしとイナちゃんは車止めに座って喋る。ここからは国道もよく見えるから、走り抜けていく車の向こう側に畑の畝が続いているのもわかる。路肩には巨大な錆色の犬が眠っていて、たぶん朝には団地の駐輪場で寝ていたやつなんだと思う。とにかく、イナちゃんがモナカアイスを買っていたから、わたしはアイスキャンデーにした。
 ここに来るとイナちゃんはいつも音楽を聴き始める。わたしがどんな曲を好きかいつも考えてくれてるみたいで、イヤホンの片方をわたしに押し付けてくる。イナちゃんはトロンボーンの演奏こそ上手くないけれど、とても色々な音楽を聞いている。ポップス、クラシックっぽいの、海外の、あとジャズとか電子音楽っぽいのとか、色々。わたしはイナちゃんが聞かせてくれる曲を知っていた試しがない。どこでこんな曲を見つけてくるのと訊ねてみたら、友達からとか、インターネットでとか、そんな風に教えてくれた。
 こうやってイナちゃんと話す内容と言えば、またテレビのこととか、アプリのこととか、そういうことばかり。これから寒くなるばかりの季節だから食べかけのアイスを惜しんでみたり、授業とか勉強とかの話も、ちょっとだけする。来年になったらこんな風には遊んでいられないねとイナちゃんは残念そうに言った。
 イナちゃんは将来音楽の仕事がしたいと言う。色んなジャンルの曲を聴いているのもそのためで、聴いた感想を自分なりに考えるようにしているんだそうだ。これから頑張って勉強して、音楽の専門学校へ行きたい、両親は大学や短大にしろって言ってるけれど、絶対にそうするって決めている。そう教えてくれた。
 わたしはイナちゃんの夢が叶うとは思えなかった。イナちゃんはわたしより勉強もできないし、わたしより音程も取れないし、リズムも滅茶苦茶。じっと真面目に練習している姿なんて見たこともないし、わたしよりずっと。でもさ。どうかな、できるかな、なんて聞かれればわたしは答えることができなくて、口をぱくぱくとさせて、それから唇を噛むしかなかった。

 錆色の犬がむくりと起き上がって遠吠えをあげた。おおおん、なんて、わたしが言い表しても届かないぐらいの強い音。コンビニのガラス窓が全部割れて砕けてしまうんじゃないかと思うくらい、びりびりとあたりに響いた。わたしは身をこわばらせて、でもなんでもない風を装う。これはわたしだけが見ているから、反応なんてしちゃいけない。わたしの中に押しとどめなくちゃいけない。そう思っていたのに、イヤホンが落ちてしまって、イナちゃんはわたしの様子に気づいてしまった。イナちゃんは疑問の様子を浮かべる。
 あの犬は前足に力を込めて、じゃりじゃり、まるで校庭の砂を確かめるみたいに砂煙を立てて、それからわたしたちのほうへ跳ぶ。ずっと遠くにあった前足が細かく見えるわけがない。見えるわけがないし、聞こえるはずもないのだけれど、そうだったことがわたしにはわかる。犬はわたしとイナちゃんのちょうど前に一足で着地して、わたしをじっと睨みつける。大人よりも一回りも二回りも大きくて、トラックとか、電車とか、それくらいの圧迫感があった。赤黒くて、オレンジとか半透明とか白とかの固まったものがごつごつと入り組んで見えて、その毛皮はお世辞にも綺麗だなんて言えない。そうしていると犬は大口を開け、イナちゃんの上半身をばくりと食べてしまった。冗談みたいに巨大な牙が、イナちゃんの腰のあたりを引きちぎった。
 わたしは勇気がなくて、反射的に目を閉じた。顔にぴしゃりと液体が掛かって、なんだか生ぬるいような、どろどろとしたような、嫌な感じがした。錆っぽい匂いがした。これはわたしの幻覚なのだから、目を開ければ、もう一度見れば、イナちゃんはそこにいる。元に戻っているはずだ。こんなことは初めてだった、こいつらが人を食べるところなんて、見たことはなかった。わたしは何を見てしまったのだろう。
 ぽとりと液体が落ちる音がして、わたしはぎくりとして、ようやく目を開いた。わたしが食べていたアイスキャンデーの最後の欠片がコンクリートに落ちて、ごくわずかな染みになっているのが見えた。視線を上げると、心配そうな顔をしたイナちゃんがそこにいた。犬は、と視線を泳がせると、食いちぎっていったものを丸のみにし、のそのそと国道のほうへ歩いていくところだった。

 夜の川べりの道。イナちゃんと別れたわたしは独りで帰る。わたしの顔色はとても酷かったみたいで、ちゃんと帰れるのか心配させてしまった。日はすっかり暮れて、真っ暗な川の輪郭が街灯の光をちらちら反射させているのが見える。わたしはふらつくように歩みを進めながら、先ほどの光景を何度も飲み込んでは吐き出す。あれは一体何だったのだろう。そもそもわたしは何を見ているのだろう。イナちゃんが食いちぎられたのはなんだったのだろう。なんでわたしだけがこんなものを見ているのだろう。ぐるぐると考えばかりが回って、まとまらない。街灯に目をやれば、そこに錆色の蛾が寄せられていることに気づく。まるでわたしの匂いを嗅ぎつけたみたいにひらひら寄ってくるものだから、いやだ、いやだ、わたしは理由もなく手で払い、駆け足でそこを抜けた。
 団地まで戻ってくると、駐輪場の巨大な犬はいつものトタン屋根のところに戻っていた。相変わらず、自転車数台分の小さな屋根にそいつは収まっていない。雨風をしのぐこともできそうにないし、何かから隠れているというわけでもなさそう。第一こいつはわたしにしか見えていないのだから、隠れるも何もないはず。わたしはゆっくりと近づいてみたけれど、そいつの顔は奥の茂みを向いていてこちらからは見えなかった。回り込めばその口の周りを見ることもできるだろうと考えはしたけれど、わたしにはできなかった。
 玄関の戸を静かに閉めると、お母さんのおかえりの声が聞こえた。わたしもローファーを踵で荒っぽく脱いで「ただいま」と返す。放り出されたローファーがハの字になってしまったけれど、直さなくてもいいかとそのままにしてしまう。お母さんの顔を今日、ちゃんと見ていないな。わたしはちらっと台所に顔を出したけれど、お母さんは夕食の支度でシンクのほうを向いていて、顔は見えなかった。お父さんはお風呂に入っているみたい。食卓のテレビはまた誰にも見られていないまま、昨日のバラエティの続きを楽しそうにやっている。
 わたしは集中できない気持ちのまま自室に戻って、制服もそのままに、ベッドに沈み込んだ。制服がよれてしまうなって考えはしたけれど、一度こうなってしまうともう起き上がるのも億劫になってしまい、そのまま枕に顔を埋めてしまう。んふ、胸を押されて行き場を失った肺の空気が目頭を湿っぽく温めるものだから、なんだか泣いているみたいになってしまった。すぐにご飯ができるとお母さんが声をかけてくれたので、わたしは今行くとこもった声色で答える。今行く、今行く、わたしはそのつもりでいたのだけれど、ベッドに横たわったまま動けなくなってしまっていた。
 かちりと時計の分針が動く。それから、ねずみがやってきて、見ているとわたしの指先をかじり始める。嫌な気持ちは起きなかった。どうぞ、お好きにかじってください。これは捨て鉢な気持ちって言うのかもしれない。わたしはイナちゃんの腰がちぎれて血が染み出すのを思い出しながら、ねずみが指先をかじるのを見つめていた。痛みはない、血はどうだろう、こいつが舐めとっているのかもしれない。じきに眠気がやってきて、部屋の蛍光灯も付けっぱなしだというのに、わたしの視界がぐるりと回る。お夕飯、食べるつもりでした。制服、しわになっちゃうな。明日は何曜日だっけ。今日の振り返りとか、何もしていないし、お風呂も入らなきゃ。そんなつもりはないんです。

 うつ伏せになったまま、わたしは夢を見た。
 わたし、きっと、どこかの浅い川底の人魚です。ちょろちょろ遊ぶ川面に手を伸ばすこともせず、暗がりに暗がりにとそちらのほうへ沈んでいきます。いつかねずみに食べられて、真っ白な骨だけになって、枯れ草の根に引き上げられて、それでやっとあなたにお会いするでしょう。それまでの間、もう少しだけ眠らせてください。