Final Fantasy プレイ記録(FF12 THE ZODIAC AGE)

感想・攻略メモ

 FF12といえばガンビット。その存在感からそれまでのFFとはだいぶ違うものであるという印象であったのですが、実際にプレイしてみるとFFとして正統進化であったのだなという気づきがありました。

 FF12が発売された2006年当時といえば前作FF11はプロマシア~アトルガンが出ているころで既にMMORPGブームも経ているので、見た目はそれを真似した「パーティの2人をNPCに操縦させるためのシステム」のようだったのですが、やってみるとリーダーもガンビットで動かす状態を前提として作られている、なんというかリアルタイムストラテジー的なゲーム体験がありました。道中に絡んでくるザコ敵も多いのでいちいちコマンド入れていたらキリがありませんからね。

 これまでのFFにおいてもATBタイトルでは行動の入力をしなければキャラクターは棒立ちになるものでしたが、ステータスウインドウやキャラ配置が画面内である程度は固定されるので「現状はこうで、次に何を判断してほしいか」は都度提示されていました。しかし3D環境のシームレスバトルになったFF12ではキャラがバラバラに走り回ることになるため、コマンドを都度入力するには状況の把握が難しくなります。カメラの外に行っちゃって誰にタゲられてるかわからなくなりますからね。そこで「戦闘前に先行してコマンドを入力しておく」というアプローチが正統進化となり、ガンビットだったのでしょう。

 ただ、そのために難易度の組み立てが「いかにガンビットを適切に使えているか」を測るものとなり、結果としてボスはガンビットの安定を乱すためのいくつかのパターンに固定化されてしまっているなという感触がついてまわることになるのが味であり残念なところでもあるなというのが感想です。具体的には、

  • HP%条件でのカットイン特殊技、「アグレッサー」、「オイル」、瀕死アップの類
    敵の火力を瞬間的に高めることで回復系ガンビットの耐久超えを狙ってくるもの。特に瀕死アップの上昇幅が尋常ではなく、HP残り20%になってからが本番といったボスも。
  • 状態異常、とくに「ウイルス」
    ガンビットの動作不良を狙うもの。ただしエスナと万能薬がFFお約束で簡易に入手できるためか、基本的にそれで直る状態異常は範囲掛けしてくる。分散してないと全員ドンアクとかやめてほしい。また「ウイルス」は回復手段自体のほうがわざと欠けやすいようしてあって不安定要素として重宝されていた様子。
    ※万能薬の知識での対応が3のため万能薬ではシカリ・弓使い・機工士でしか治療できず、白魔法リブートは必須マップでないセロビ台地の確率トレジャー、単体回復アイテムであるC9H804はギルヴェガン前後以降でのドロップ・交易品か最終局面以降でナルビナ⇔アルケイディス航路にゆっくりで乗って船内で購入するのみというド丁寧な絞られっぷり。
  • 属性耐性による吸収・レジスト
    中盤以降のボスは正解属性以外は綺麗にレジスト無効。特にヴァンをウーランで運用していたため中盤以降はボス戦に入るとすぐに持ち替えて低い火力で戦う羽目になった…
    ※フォーン海岸で購入できるハルバードを越えると、トライデント(氷)、ホーリーランス(聖)、グングニル(火)と進行にともなう武器がすべて属性付きのため。ルース魔石鉱の奥で竜の髭が手に入るがザコ敵のレベルがほぼ最終になる。そしてさらにトライデントが属性付きだと気づかずにハルバードを売ったため大灯台をヘビーランスで攻略した。砂漠や王墓で購入できるやつ…
  • 魔法障壁、完全マバリア、絶対防御
    物理無効、魔法無効、何もかも無効。効果が切れるまでひたすらレジストの表示を眺め続けるので防御面が揺らぐのを待ってくるもの。今回のプレイでは経験ありませんでしたが、ダメージが通らないことで与ダメージMP回復が封じられるので場合によってはMPも苦しくなるとか。あとさすがにゾディアークはどうかなって思います。

これらについては……これを楽しむゲームなのだと言ってしまえばそれまでなんですが、エンディング時点でももうお腹いっぱいだなといったところ。TZAバージョンでだいぶ緩和されているとのことなんですがこれ原作マジどんなだったんよ…

各キャラ感想

・ヴァン
 とっておきを見せてくれる気のいいあんちゃん。
 開始時点ではウェアラットをこっそり腕試しで狩ってすげーって言われる、つまりそれすら保護者の方々から止められていたくらいには非戦闘員。プレイヤーによるレベルアップのお陰でメキメキ実力を伸ばしていきますが、ストーリーイベントとして武器を振るう場面は実はたぶんエンディングしかない。もしかしたらLv9のまま放置されるべきはバルフレアではなくヴァンのほうだったのかもしれない。もっとも、加入後にイベントで武器を使わないのは他のキャラも同じです。恐らく何の武器持ってるか定まらないから…
 兄・レックスがなんかよくわからんままに世を去ってしまったことについて無力感で逃避している状態から物語が始まるわけですが、アーシェとは対照的にレイスウォール王墓~ジャハラあたりで吹っ切れてしまい(破魔石の幻影が見えなくなったのはそういうことでしょう)以降は建設的な「やってやろうぜ」感でチームの空気を良くしてくれるいい立場になっていきました。まあ頭脳労働しないのでそれしか言いませんけど。はげますエールさけぶ、と考えると確かにイヴァリースの主人公。
 今回のプレイではウーラン/もののふでの槍装備を選択、純粋火力のポジションで動いてもらいました。歴代FFではどうしてもぱっとしないことの多い槍という種別ですが、飛行タイプ無視であること・射撃武器でないため天候に妨害されないこと・銃でないため無効相手がいないこと・ウーランが純粋な戦士ジョブとして綺麗にまとまっていること(重装備でHPと力強化が多いため単独で完結している)からポテンシャルは非常に高いです。高いはずなんですが、前述の属性問題はある。アンデッドまみれになってるときのホーリーランスは強かった。
 余談ですが、ボス戦勝利時・槍を最終行動にした際?に見られる槍をぽーんと蹴り上げて首筋で受け止めるモーションがとても好き。

・バルフレア
 ことあるごとに主人公アピールするが、最終的にフランに二枚目って言われちゃう可哀想な人。二枚目は誉め言葉ですが一枚目=主人公ではないということだからね……
 偶然ヴァンと同じ見込みで王宮へ盗みに入ったのが運の尽き、以降あらゆる行動のたびに知らんぷりしづらい厄介ごとに巻き込まれ続ける悲運の空賊。そりゃ自分が波乱の主人公だとでも言っておかなきゃやってられないかもしれません。シドの実子という立場ですからこの物語全体を英雄譚として語るなら主人公として据えることもできるかもしれませんが、彼とシドとヴェーネスの関係は表向きの歴史に残ることはないでしょうから、やっぱり主人公として語られることはないのだろうなというお話。ところでフランとはどういうなれそめだったんです? あとバッガモナンになんであんなに恨まれてたんです? 過去が気になる謎多き空賊、いかしてるぜ…
 今回のプレイでは機工士/シカリでの銃装備を選択。しかしLv9、バルハイム地下道までだったため評価なし。銃は突き詰めると彼向きではないらしいとかあるのですが普通のプレイ範囲では誤差かなーとは思います。シカリはおそらくヴァンの正当な当てはめジョブと思われるので強かったんじゃないかなーと思われるがよくわかりません。

・フラン
 褐色おしりうさぎ。ケモノらしく踵が浮いているのでぴょんぴょんするのカワイイ。
 空中バイクが言うこと聞かなくて大慌てするところから始め、ことあるごとに地味なセクハラを受け続け、ミスト濃度感知器として暴走したり気分を悪くしたりし、結局のところエルトの里の一件でしか当事者にならないので不遇な立場ではある。バルフレアとどうしてペアを組んでいるのかもついぞわからないままですが、バルフレアとのなれそめを聞いたらビンタくらいそうなのでそれはバルフレアに聞きますね……へへ…
 ヴィエラ・ガリフ・ンモゥ・オキューリアとさも去りゆく超人種族の多彩な側面みたいな空気感を出していますが、想定上の後年となるタイトルにもヴィエラやンモゥは居るそうなので滅んでしまうわけではない様子。FFTはやっていますがFFTAはやっていないので細かいことはわかりませんが。やる予定はないよ。
 今回のプレイでは弓使い/赤魔導士での弓装備を選択。Lv13。戦艦リヴァイアサンの独房までなのでこちらも評価しづらいですが、弓使いの白魔法がちょっとだけ動き始めたかなくらいの頃合いでした。後々のラ魔法の活躍っぷりからするに、赤魔導士はもしかしたら本編中くらいでは強かったのかもしれない。

・バッシュ
 意外とお茶目な将軍殿。意外とアーシェ殿下に手を焼いてらっしゃったな?
 年単位で幽閉されていたのに偶然通りかかった脱獄囚に賭けて脱出を試みる不屈の精神の持ち主。その相手がヴァンだったという運命的なめぐりあわせこそあったものの、さすがに心が強すぎるようには思います。ただ心が強いながらも頑迷ではなく、一行の年長者としてアーシェの心情に理解を見せつつも「王族かくあるべし」と理性的な進言もできるよくできた将軍殿であります。ただ本来はランディス共和国の生き残りなのでダルマスカの王族に仕えるような身とも思われず、どういう経緯でアーシェのお付きになったのかは非常に興味深いところがあります。同じ境遇で帝国に転がり込むこととなった弟・ノアと同様、かなり泥をすすったはずではありますが…
 今回のプレイではナイト/時空魔戦士での片手剣盾装備を選択。組み合わせとしてはHPがやや低くなってしまう(ともに重装備ジョブのため軽装備でのHP補強はできず、ナイトで取得できるHPライセンスが前衛としてやや低いのに時空魔戦士でプラスできない)という問題はありますが、ナイトの白魔法を魔力強化できること・ヘイト値の高いデコイを自己詠唱できること・スロウ治療のヘイストやトラップ対策のレビテガといった便利な時魔にMPを振れること、と痒い所に手が届くので悪くなかったと思います。あえて言うなら重装備同士で装備が偏ってしまうことと、召喚ライセンスがあまりに彼集中になったことくらい。デスブリンガー(買:バーフォンハイム)が攻83の無属性と優秀なので属性問題が生じたときはヴァンより火力出てることもありましたし…

・アーシェ
 ヴァンのナイスアシストのおかげでギリギリ闇落ちしなかった姫君。
 後半の主人公とでもいうべき彼女、破魔石の幻影に誘導されるがままになっていたわけですが、ヴァンと愉快な仲間たちのお陰で幻影を打ち払うことができためでたしめでたし。しかしオキューリアの図った歴史の流れではアーシェが救国の聖女となって帝国を滅ぼしていたわけで、そうなっていたらどのような歴史の流れにするつもりだったのだろうと考えると必ずしも善悪を断ずることはできないような気もするのですよね。
 ともあれ元旦那の幻影を断ち切ったあとのエンディングで指輪が戻ってくるわけですが、なんか悪い感情こそなけれどこんなのもういらないよみたいな笑顔だったようにもちょっと思います。奪いとった二枚目の空賊もこれに縛られていることに不安を感じたから持っていったところもありそうですからね(王女が覇王の歴史をたどってしまうことに彼が否定的なのはフォーン海岸のイベントあたりで描写があるので)。
 今回のプレイでは白魔導士/ブレイカーという癒しなんだか壊しなんだかの組み合わせを選択。序盤はロッド装備で進めたのですが、覇王の剣の入手以降は思い切って両手剣を装備し続けていました。ブレイカーとの組み合わせだとHP+310経由で召喚ライセンスなしに両手剣が装備できるので、覇王の剣→セイブザクイーンで最後まで行くことになりました。クリア後は取り逃してたディフェンダーにして気休め程度に回避をプラス。白魔導士はとりあえずケアルラとレイズとエスナをガンビットに設定しておけば何ら問題のないジョブなのですが、HPの補強と暇なときのたたかう火力によいと聞いてブレイカーを選びました。ほぼパッシブ目当てなのでブレイカーらしい運用はなかったのですが、最終盤で防御破壊、クリア後は攻撃破壊を振るうなどしていました。ステータスを破壊して殴れば不滅なるものも滅する。なおハンディボム装備で後衛に誘導するほうが適切な場面は多かったと思う。

・パンネロ
 町娘。エンディングの姿で戦ってほしかったなあ、私は!
 彼女自身が得た直接的な功績はあまりないのだけれど、実はFF12最大の功労者だったのかもしれないとは思っています。彼女がいなければヴァンは空元気ででも空賊を目指す少年として頑張っていなかったろうし、バルフレアの配慮誤解からのバッガモナンによる誘拐もなくラーサーと一行の出会いも遅くなっていただろうし、ラーサーの貴重な庇護対象として無邪気なダルマスカ人との交流となることもなかったでしょう。王女様はそういう取り方のできる人じゃないから……するとラーサーによるダルマスカ人への思い入れもなく、融和路線を強硬に主張することもなく、ヴェインの策略に後手に回って終わりとなっていてもおかしくなかったのではないかな、と思います。当人はただヴァンに置いていかれたくない一心で最後までついてくるだけですが、バハムートにおいてもラーサーを気遣っているところとか好感が持てます。
 今回のプレイでは黒魔導士/モンク。どちらのジョブもFF12とくにTZAではめちゃつよだった疑惑があるのでもったいないことをしましたが、白状するとオズモーネ行くくらいまで4人パーティゲームだと思ってたので物理DPS/TANK/魔法DPS/HEALERにするつもりでフランにしよかパンネロにしよかみたいに考えてたんです……

・ウォースラ
 バッシュが脱獄できたのが遅くなったばかりに……
 本編前アーシェがだいぶ復讐に駆られ過ぎていた様子があるとはいえ、帝国との融和路線をこっそり仕込んでいたのはあまり良い家臣ムーブではないよなとは思います。王家の名誉より国民というタイプと言えばいいのでしょうかね。結果論で言ってしまうと、暁の断片を素直に譲り渡したところでヴェインにだまし討ちされていたとは思いますが。

・ラーサー
 善人ではあるが時代をまとめ上げられる傑物とも思えないなんとも不安感のある皇帝。
 ヴァン一行との出会いは人造破魔石に怪しいものを感じて独断専行という賢明さの表れであったようですが、結果として外交先で会ったダルマスカ人の少女パンネロにほだされて帝国の内部分裂を招いたみたいな風に言ってしまえなくもないので、後年の彼がどういう評価になるのかはとても油断のできないやつかなと思います。国外との交友に恵まれてヴェイン派も壊滅、元老院も取り潰しになったままなので夢いっぱいのエンディングではありますが、後世からは暗君扱いされるような転落もおかしくないぞあの流れ。

・レダス
 ナブつぐ。正直に言うとパーフェクトバハムート要塞の大暴れも見てみたかった。
 ドラクロア研究所脱出後に突然名前が出てくる港町で突然大物然として現れる空賊のおっさん。空賊としての評判はよその町では聞けないので唐突感は否めないところ。その正体やいかに……というのは大灯台の一番上まで登ってようやく答え合わせになりますが、伏線で残っていたのそれくらいしかないのでやっぱそうでしょうね感はちょっぴり。ところでほっておいたら数千倍だったらしいミスト大放出を身一つでどうやって抑えたのかは気にならないでもない。パイプ繋がってて吸い取ってたなら切断したことで犠牲になったのだで納得いくんですが、塔の周辺にばらまかれたミストを吸収されてたような描写だったわけだし…