Final Fantasy プレイ記録(FF13)

感想(ゲームシステム)

 FF12の感想のところで「ATBの延長線上にガンビットがある」と評しましたが、FF13については「ガンビットの更なる延長線上にオプティマバトルがある」と感じました。

 FF12ではガンビットが柔軟なため攻撃と回復の切り替えは設定さえしていれば操作する必要はなく、非常事態が起きるまでプレイヤーは眺めているだけという場面がちらほらありました。これはこれでゲームプレイ感が薄れる問題点もあるためか、FF13のオプティマバトルではキャラは指示されたロールを厳守し「戦況判断からの行動の切り替えはプレイヤーの仕事である」ことが徹底されています。

 ただキャラクターのアクションがリッチになって棒立ち感が薄くなったこともあって、そのままだと展開にプレイヤーの操作猶予時間がついていけなくなって難易度が上がりすぎてしまうため、ATBゲージを複数本数まとめて取り扱うというシステムに辿り着いたように思います。ストーリーの進行で選択肢が増えるにつれATBゲージの延長・消費本数の多いコマンドが追加され、思考時間として緩和されていくわけですね。

 と、オプティマシステムには好感を持っていますし、役割がはっきりしていてコンボがしっかり決まるアクションの格好良さも大変興奮するのですが、そのシステムをいざ味わってもらうためそれ以外のゲーム要素の組み立てが露骨に合わせられているというのがFF13の最大の問題でしょう。これはFF12でもそうでしたね。

 具体的には、1~2章でATBとアイテムをこなすところから、3~4章でロールの紹介を行い、あとは4~10章はAB⇔AHの基本形からJEを挟むだったりDを挟むだったりリーダー固定で手動操作させたり、編成に対する答えがあってそれ以外の戦い方をつぶすような敵の行動が設定されているものがずっと続く、息苦しいゲームになっていた部分です。俗にいう「10章まではチュートリアル」というやつですね。特に召喚獣バトルは死の宣告での時間制限がシビアに設定されているぶん顕著でした。

 ザコ敵あたりであれば星5を狙わなければAHHとかで勝ち確になる場面も多いのですが、回避困難に配置されている敵が多いこともあって毎回10分以上掛けるわけにもいきませんし、戦闘リザルト画面で目標タイムや星評価をはっきり示してくるので……結局攻め調子でオプティマを使っていく圧迫感が発生します。

 それに合わせて敵はヒーラー・ディフェンダーを活用するようフルHPから赤領域まで瞬時にもっていくとか用意されていますので、緊急時に応答性が低いオプティマをいかに適切にチェンジさせられるか、できなければ数秒判断ミスするでゲームオーバー……といったことがちらほら生じてきます。ペナルティなしで直前リスタートができるようにはなっているので二度目は学習できるものの、一戦当たりの時間が十分近い場合もあり、常に気を張っていなければストーリーを進むことすらできないので認知コストが高くなっている……という域に到達しています。つまり苦行。

 結論として、戦闘は格好いいし楽しいところあるけれど、そこまで気を張り詰めてやりたくないしストーリーのために我慢して挑戦してるみたいなマインドになってしまってゲームとしてはどうかなというのが総評にあたると思います。正直、FF1~14の中で屈指のひとを選ぶ作品と言えよう……

 とはいえゲーム的にもこの難しさは意図したところがありそうで、本編においてライトニング一行の旅路・敵はお膳立てされていた節があり「相手に一方的に勝ってしまうような育成済みの状態」がストーリーに許容できないところはありそうでした。例えばビルジ湖あたりでアダマンタイマイを狩れそうなくらい育てることができたとしたら、すぐにグラン・パルス行きやエデンに呼びつけてくることすらあり得たでしょう。なんというべきか、ストレスが作るストーリーラインというものは確かに存在する。良かれ悪かれ。

感想(ストーリー)

 FF13というと「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」などとしばしば言われるわけですが、実際のところ固有名詞が出てきて解釈が必要になったタイミングで都度オートクリップが発生しているため、単語が意味不明という事態は意外なほど発生しませんでした。ただこれはオートクリップを読む習慣あってのことなので、FF13を楽しむにはこれの耐性は問われてしまうな……というのは事実でしょう。

 例えばライトニングさんの上官の名前は彼女の回想でも出てきませんが、その回想が終了したタイミングで「アモダ曹長」というオートクリップが追加されて人となりやライトニングさんへの評価がわかるようになっています。そのあと一切出ないのにね……こういった構成は他にも多く「歓楽都市ノーチラス」がどういう風に聖府に取り扱われて市民に受容されているかなど、端々でオートクリップ頼りがされているのでお知らせを後回しにするとゲームの楽しみを失いかねない構成になっています。

 オートクリップ頼りはもっと重大な部分でも目立ち、それは「キャラクターの内心描写・予感めいたものがそこにしかないことがある」ものです。例えば5章・ホープ君が「ノラ作戦」をライトニングさんに提案したとき、発生したオートクリップで既にライトニングさんが「あやまちを悟った」とはっきり描写されています。そのあとのライトさん梯子外し事件のイベントに直結する明言なので、これをこのタイミングで読んでいたかどうかで受け入れ方が変わってくる大事なものでした。

 とはいえ吟遊詩人のナレーションを聞くように、オートクリップを読む前提ですべてを捉えれば逃避行ストーリーは非常に興味深く面白いものだったと思います。声優の名演や楽曲の良さ、景色の良さや通りすがりの人のぼやきまで含めて、とても面白く遊ぶことができたと思います。逆に個人的なところではありますが「ここから面白くなる」という11章以降よりそれ以前10章までのほうが性にはあっていたかも……

各キャラ雑感

・ライトニング
 クリスタリウムも薔薇でデュオデシムではのばら兄ちゃんがいるので執拗に薔薇推しでしたが、本編ストーリー的にはあんまり薔薇感のないトゲトゲお姉さん。
 キャラクターとしてはクラウドとスコールの要素を再解釈してもう一回やってみようみたいな印象があります。この「再解釈」はFF13を読み解くうえで非常に重要ではないかと感じるところで、過去作FFのクリスタルの戦士などの要素を2009年の常識や社会通念、家族問題、ジェンダーロールなどの上で再解釈して組み立てたらどうなるだろうという挑戦の痕跡がそこかしこにあるように思います。なので彼女はちゃんと働いてるしアモダ曹長の覚えもいいので平常時ならよそ行きの応対もできてたんじゃないかなと思います。そこらへんクラ・スコとは違う印象。
 装備は物魔均等タイプのブレイズエッジを採用。幅広く習得する魔法とブロウ系による弱点攻撃でのチェーンゲージ稼ぎは頼れる場面が多くてよいので、これはあまり異論ないやつなのではなかろうか。ライブラ済みだと自動コマンドで適切かつ同一連打で効力が下がるのを考慮して提案してくれるので、ライブラして属性だけでも見破っておくことがライトさんの使い勝手に直結すると思います。HPがそんなに高いほうではないのにブロウ系で接近してしまうためときどきタゲ集めて床ペロするのはご愛敬。

・スノウ
 頑丈なのでよく吹っ飛ばされる。頑丈だから大丈夫というものでもないと思いますが、痛そうな場面はだいたいスノウに押し付けられている不遇なイケメン。作中何回吹っ飛ばされたかわからんくらい吹っ飛ばされてましたのであれは芸風と言えよう。ガタイは歴代でもマッシュかゼルかくらいしかくらいデカいですが、バンダナもあってかちょっとロックっぽいなという印象はあります。……ロックも作中何回か吹っ飛んだな?
 序盤のセラさんに対する回想シーンはむずかゆい感じもあって恋愛ドラマ観てるなあという気分だったのですが、伏せていた自分のヒーロー像への欺瞞に対してホープ君とのぶつかり合いで吹っ切っていくのはいいエピソードだったと思います。ホープ君と一緒にいたほうが君は格好いいと思うよ正直。
 装備は物理偏重型のエナジーサークルを採用。見た目通り物理系の性能が高いのでATKとしても強いようなのですが、ファングさん起点の組み合わせに差し込めなかったので出番はあまりありませんでした。ガード系効果UPの騎士のハート・バリア系効果UPの護法の陰陽という選択肢もあるかなとは思いますが、そういった効果なしで凌げるようになってる本編ボスだと過剰なので素直にエナジーサークルでよさそう。

・ヴァニラ
 女性陣3人の中で見るとやや若いのでお色気担当っぽくはないんですが、肌色が多すぎるただ一点で順位をまくってくる魔性。中盤のサッズさんとの逃避行パートはお互いに空元気で痛々しく名作パートだなと思う反面、ちょっとなんか犯罪の匂いがしてしまう2009年。前述のとおり彼女とサッズさんの逃避行中の心証は態度上隠していることもあってオートクリップ頼みなので、ちゃんと読みながら進んであげましょう。
 キャラクターとしては言っちゃあ諸々の問題を引き起こした立場であったわけですが、クリスタル状態で輸送されて百年後に見知らぬ土地に頼る相手もファングさんしかおらずそのファングさんも記憶喪失という状況ではああなるも仕方がないかなとは思います。そこで超受容スタイルのセラさんと出会ったのが良くなかったは良くなかったですが、あのドミノ倒しがなければパージ即物語終了になりかねなかったので結果的にベストワークであったと言えよう。
 装備は弱体系成功率UPのベラドンナワンドを採用。これは魔法偏重型のパールウィングという選択肢も強いと思いますが、ジャマーの成功不成功はマジで戦況を左右するので個人的にはこちら派というところ。しかしこのワイヤーロッドという武器種別は面白武器ですがなんでまたこんなみょうちくりんな装備を……しかも物理で戦うキャラってわけでもないのに……

・ホープ
 新時代のセシル。いやどうだろ……闇落ちギリギリへにゃへにゃからの超バイタリティ成年への変貌と言うところにそういう感じを覚えましたが剣士系のステータスはしていない。ブーメランは解説を見るとほぼ競技用らしいので、世界設定に合わせて少年はいかにして戦うとしっくりくるかがよく練って設定された印象があります。
 序盤から危なっかしさをひたすら溜め続けてのパルムポルム・エストハイム邸に到達するまでのジェットコースター逃避行こそFF13の絶対的な見どころ、と個人的には思っています。まあホープ君特に武器持ってなかったからだいたいライトさんがナイフ渡したせい、というよりそのナイフの選択がたぶん贈り物としてどうなんだって言われることからして結局スノウさんのせいなわけですが……でもそういう経緯をたどったナイフだったからこそホープ君が闇落ちしきらずに立ち直れたところはあると思います。
 ところで全然関係ないですが、件のサバイバルナイフなどパーティメンバー構成で持っていないはずの大事なものはきちんと荷物から消失しているので章が変わるたびに新規入手のアイコンがついてるの、丁寧だなと思う反面お知らせアイコンを消すのめんどくさかったです。そういうこだわりは要る…?
 装備は魔法偏重型のホークアイを採用。これについては役割がはっきりしているので他の選択肢が選ばれることもあまりないんじゃないかなと思います。まずは魔法の威力を高めよ。

・サッズ
 格好良くはないが格好いい親父さん。名演が光る。マジでそうらしいですが控えめに見たって間違いなくウィル・スミスですね。ちびチョコボがひたすらに可愛いんですがあれがあのサイズのチョコボに成長するというと神秘通り越して恐怖の域だと思いますが……ともあれ、本当は使いたかったんですがATK/BLA/ENHという構成がライトさんと相性がマジで良くないので泣く泣く見送りとなってしまいました。あと正直に言うとドッジのクリスタルはちょっと笑ってしまったのと、「ヴァニラー」の呼びかけがなんとなく好き。
 ノーチラスでの隠し事二人での楽しそうにしてるのが本当にいい人なんだなって気持ちと、もう相手なんて放っておいて大人の責任なんて逃げちゃえよって気持ちとがあってヴァニラー。
 装備は魔法偏重型のデネブを採用。チェーンボーナスUPのアンタレスは候補に挙がると思いますが、もう入手時期がべらぼうに遅いのでストーリー中に利用するのはちょっと難しいかなと思います。サッズは非力なので武器の威力がちょっと低いくらいもうどうでもいいよとは言えなくもないのですが……

・ファング
 からっとしているサービス精神旺盛な姉御なので、最後の最後まで心の闇を放っておかれた人。単独変身ラグナロクは彼女の面影があって個人的には好み寄りですが、あんな巨大化もせんで人型のまま武器も持たずに格闘挑んで何とかなるラグナロクって……という気はします。数百年前はあの姿でコクーン外殻をメキョったんスか?
 装備は妨害系成功率UPのパンドラスピアを採用。ファングさんはATKで活躍してもらいたい局面も多いので物理偏重型のブレードランスやブレイク不可のニムロッドピアス、魔法大幅低下のドラグーンランスあたりと選択肢はあるのですが、意図は純粋にATBの手数をできるだけ確保したかった……の気持ちによるところです。ジャマーで延々リトライしているの精神衛生に悪いですからね。