感想まとめ
総評、5人目のキャラクターとしてついていく一折の思い出。
感想(システム)
このFF15というゲームがどこを起点として組み立てていったのかは想像するよりないところではありますが、FF13から引き継いだ高頭身スタイリッシュアクションと当時隆盛を見せていたオープンワールド・シームレス戦闘を組み合わせた点によって発生した諸問題に対して、割と素直な解決策によって成り立っているのがFF15のシステムかなという印象がありました。以下推測。
- 高頭身のため背景(建物や街、自然)に求められるサイズ感が大きくなり、キャラクターの移動速度に対する街のサイズが巨大化した。ゲーム進行・実装工数に影響が出るため街は実質レスタルムとオルティシエのみに限定される組み立てがされた。コンテンツ間で不足する休息地点の役割には宿・店・情報屋だけで成立するレストストップを設けた。
- オープンワールドで暗転を多用できないことにより、隣の市街が見えてしまうとおかしくなってしまうので、丘とつづら折りの谷筋道を多用した視線を遮るマップを多用する組み立てがされた。それによって隣町までの距離が離れたため、高速移動手段の必要性が生じた → レガリア。
- シームレスに戦闘が行われるため、ボス級の敵はカメラ位置に頼らず怪物感を出さなければならず必然的に巨大した。それによりキャラクターが小さくしか写らず動きが見づらい場面が発生するため、シビアな予兆をいなしあう格ゲー的なコンボアクションが成立しづらくなった → 攻撃種別を先に指定して攻撃ボタン自体は1つ。
- 一方でザコ級の敵はキャラクターと同程度の大きさになるが、プレイヤー+オート操作3名によるタコ殴りになるとヒットストップが強く出過ぎてしまう。すると難易度が崩壊するためザコは群れで運用する構成になり、予兆が画面内に多数同時発生することになる。こうなるとジャスト入力を要求することは難しくなる → 押しっぱなしドッジ
- どちらの戦闘であってもスペースが広いため高速移動手段がないと走り回るゲームになってしまう。走る速度をただ上げると見た目がおかしくなる → シフト。ただしプレイヤー以外が使えるようになるとゲームスピードが高速化しすぎるため、プレイヤー専用とした → 王家の特殊能力。
推測ここまで。
特に戦闘面に関して、FF13のように固定の操作パネルを使うようにカメラワークが配慮してくれるわけではないため、各キャラクターの操作は半自動でやってくれる必要があります。結果として
「アタックかドッジのボタンを押すというオプティマ」
とでも言える解決になったものと思われます。つまり○ボタンを押していればATK、□ボタンを押していればDEFとして振る舞うというわけですね。
数時間触ったあたりでそのように感じたので、FF12~13の流れを汲みつつ新要素を取り入れ、それによって発生した問題を解決しただけという位置づけの正当な後継者ではあるのかなというのがシステム面の感想になりました。
感想(ストーリー)
「はじめてFINAL FANTASYをプレイする方と、全てのファンの為に──」
そう前置きをするほどこの作品がFINAL FANTASYであるか、実はプレイ中の私はそうは思いませんでした。そもそもFFというシリーズは魔法・召喚獣の名前に一部共通項があるくらいで、システムも違えば世界設定、技術基準、ジャンルも何もかもが違うものです。チョコボやモーグリの出演すら怪しいナンバリングもあるくらいですから、何をもってFFらしいものとすべきかは人によると思います。ここで個人的にFF1~15までのプレイ体験からFFらしさを考えてみると
「全体の整合性より、燃える場面・感動する場面・心動かす場面を優先すること」
ではないかと考えていました。しかしFF15のストーリーはそれには当たらないのです。
FF15のストーリーは大まかに以下のようになっています。
- ファントムソード捜索編、オルティシエ移動中に王都襲撃が発生しての放浪
ゲーム開始~レスタルムでの頭痛。チャプター3がフリー行動タイム - 六神の啓示編。ファントムソード捜索をふわっと上書きして六神から呼び出しを受け、三柱に認められる
アーデンとの同行~オルティシエでの儀式。チャプター8が実質的なフリー行動タイム - 帝都編、残る六神の手掛かりがないためふわっと帝都に行くことになりクリスタルの奪還を目指す
- 10年後編、クリスタルを奪還もできずふわっと吸い込まれて時間経過。すべて支配された状態になっていたので決着を付けに王都へ
こうして見るとノクティス一行の旅は「何かをしようとしていたらふわっと介入・招待されて新たな土地に行くことになり、行った先で喧嘩を吹っ掛けられて勝ったか負けたかもよくわからないまま次の招待がふわっと届く」という構成が続いています。裏でアーデン・ルナフレーナがどう動いていたかが掴めると全体としての整合性はあるほうだと思うのですが、誰かを救ったり守ったりするような燃える場面・キャラクターが心中を吐露する感動の場面といったものは作中とても絞られており、無力感を覚えることが多いよう徹底されているようです。そのためFFらしくないなという印象があったのです。
しかし、10年後~エンディングまで見たことでその評価は完全にひっくり返すことになりました。確かにその場その場で整合性をさておき「燃える場面」を何度もおかわりしてきた旧作FFのような意味でのFFではありませんでしたが、エンディングのその場面のためだけに要素を全振りしてたなこいつ……というところに至ったためです。
レガリアのガス欠・車押しに始まり、ドライブ中の過剰に持て余す時間とそれに対するキャラ間のぼやき、グラディオラスの叱責とイリスの可愛らしさ、すぐ夜になって休憩を取らせようとするイグニスとそのやたらおいしそうな料理、何度も宿泊して確認させられるプロンプトの写真、早朝に起きてきてペアで行動するキャンプ……そういった要素がすべてエンディングのためだけにあったと言ってもいい、ゲームとしてはブチ壊れているといってもいい、そのくらいに労力と報酬が見合ってないが1つだけの「場面」にとことん追求した奇妙な作品、それがFF15だったように思うのです。
STAND BY MEを流して悪友同士がじゃれあっていた輝かしい過去の思い出を振り返る気持ち、それをパーティの「5人目」として味わってもらいたいその一念だったと言われれば、それはFFであると言うしかないじゃないですか。整合性なんて気にせず一番楽しいこと燃えること心が動くことを追求してきたのがFFだったんですから。
各キャラ短評
・ノクティス
一見正直者でわがままな王子様にして、実は全然内心を見せない秘密主義の少年。外見はなんかイマドキのーみたいな感じで実は知り合いに似た雰囲気の人がいるので複雑な気持ちで操作していたのですが、オルティシエあたりからはまったく気にならなくなっていましたね。3人の仲間にすら相談できなかった重責を少しずつ言えるようになっていって、そうして最終的に「やっぱ辛えわ」に至ること、これがFF15のコア中のコアなのでしょう。ただそのぶん劇中のプレイヤーからの好感度は低いまま進行する時期が多く、ゲームとしては……どうなんだろうなー……
装備はほとんどブーストソード+零距離シフトブレイクのご無体装備で駆け抜けました。実質チャプター3(入手自体はチャプター5)でアルテマブレードを入手できてしまったのでそれを装備している時期もあったのですが、敵の硬さがストレスフルなのでこれ使うくらいがちょうどいいと思います。いや、見た目がノクト削岩機になるのでちょっと悪くはあるんですが……クリアするだけならピンチにいくらなってもポーション・エリクサーで復帰できるので何でもいいとは思います。ただ火力がね…
・グラディオラス
ゲーム進行の犠牲になった男、グラディオ。ゲームの開始時点が王都出発後なのでそれ以前のノクティス・グラディオ間の空気を醸成できず、とはいえ兄貴分かつ理想の高い系男子としてノクティスを引っ張っていこうとする立場になったため、豪快というより神経質という印象になってしまったところはあると思います。まあ彼は彼で偉大な父親の影に追われている雰囲気もちょっとだけあったのでそういう裏設定はあったのかもしれませんが……
DLCでは一番敵のモーションに気を付けて戦う羽目になったやつ。終わってみればポーションは余っていたのでもっと食らっても大丈夫だったわけですが、構えからの踏み込みをしてくれる人間型と違って無拍子で腕をぶん回して攻撃判定起こしてくる獣系モンスターはマジで困るところではある。オレンジ色の予兆を出してほしい。
・イグニス
ノクトの身を一番案じるあまり口数が少なくなってしまう優しい男。ボディーガードはグラディオが主なので秘書兼ドライバー兼コックというその他全部みたいな担当だったわけですが、意外と次何しようみたいな話もグラディオとプロンプトが持っていったため、実はそんなに印象がなかったりします。でも彼の作る料理はいちいちおいしそうで……野菜食べようとしないノクト、カプヌでテンション爆上がりするグラディオ、食わせがいがなさそう…
DLCでは踏み込みの強いサンダー・範囲と行動制限のブリザド・火力の高いファイアを使い分けて進行する面白ギミック。本編では操作切り替えはどれも使用しなかったのですが、イグニス操作は使いやすそうで使ってあげてもよかったかもしれなし。
・プロンプト
謎の平民友人キャラ。最終的に衝撃の生まれが明らかとなるわけですが、そもそもノクトとの馴れ初めさえよくわからなかったのでここらへんはもうちょっと何とかしてほしかったところ。序盤にイベントで見られる「プロンプトがノクトに始めて声を掛けたときの複雑な気持ち」についても回収されなかったし……あれ見てなんか当時からスパイかなんかかと思ってたよ。当たらずとも遠からずでしたが。ただプロンプトが写真を撮って「この場面はいいな」ってプレイヤーに選ばせるという操作そのものがゲームのエンディングに果たした役割は滅茶苦茶大きいので、ゲーム体験としてはMVP。
DLCでは正直一番使っていて辛いキャラ。視点・動作・照準の3軸を2軸コントローラでやらせるのは厳しいもんだと思います。うっかり拾った狙撃銃スコープ覗いた瞬間すべてが見えなくなって近寄られて切られるの、何回かやりました…
・アバター
王の剣の生き残り。原型キャラを祖先として割合で合成してキャラメイクするのちょっと面白い。服装も色々用意はされていましたがちょっと楽しさに振りすぎていてストーリーに合わないため結局最後まで王の剣の平服を着ていました。これはしゃーない。「何時か何処かの王の剣」はクリアせずに置いておけばよかった……とちょっと後悔。チャプターセレクトでそこだけやるか。
AI仲間との孤独な闘いをしていたので、火力面は彼女のみという状況なので武器性能=すべてみたいなところがありました。300000ダメージ与えてる間、3人の仲間は30000ダメージ与えてればいいほうくらいのノリですし……そういうわけでランツェレイターを4本抱えた力・体力全振りの王の剣として試練に打ち勝ちました。これ以降を進めるなら竜の髭作っちゃったほうがいいだろうなとは思います。
・アーデン
ちょっと本編では声優の力量に頼りすぎ。特にチャプター13。ジョーカーの映画とどっちが先だっけ?ってなりましたがエピソードアーデンのほうが先ですね。DLCを踏まえて本編を考えると、既に狂気ばっちりの状態からスタートなのでまともな思考はしていなかったのだろうなと思います。ガーディナで初めてノクトに会ったときはとんでもない内心になっていたのではないかと思いますが、あそこでシガイ化攻撃しようものなら剣神お仕置きルーム行きだしな……
DLCでは優秀なモーションと移動性能、仲間の火力もバカみたいに高いとFF15本編や他のDLCの鬱憤をすべて晴らすかのような西新宿大暴れゲームで楽しかったです。でも過去回想のアーデンの姿がなんというかあまりにも「あの男」過ぎてこう……いいのこれ? という気持ちは否めない。神話の時代だからしょうがないんかなあ。